「Web地学ライブラリ」開発プロジェクト

Web上で地学教材地図を共有することができるサイト「Web地学ライブラリ」サービスと、QGIS上でWeb地学ライブラリ用の教材地図データを作成するQGISプラグイン「地学ライブラリ作成ツール」を開発するプロジェクトです。

背景

1.地学教育の現状と課題

科学的なものの見方や考え方を学ぶ上で、身の回りの自然や地域性を生かし、観察・探求体験を実践しながら教育を進めることは大変重要です。特に、環境災害や自然災害の多い日本にとって、防災教育の一般への浸透と指導者の育成は喫緊の課題となっています。

しかしながら近年我が国では、以下のように地学教育を取り巻く環境は芳しくありません。

  • 若者の理科離れ(特に地学、とりわけ地質)
  • 教育カリキュラムなどでの理科の時間数減少が進むとともに特に受験に関係の少ない地学が最も削減の影響を受けている
  • 観測の野外実習や観測用施設の設備等に多額な費用・時間が必要である
  • 地学の教員の減少(特に野外調査技術の不足)など

また、地学専門家の就業先としての業界(建設・資源関連等が多い)の3K問題、下働き的意思期間による人気低迷など、地学教育の先細り感が見られ大きな課題です。

2.地学教育におけるGISの活用

GIS(地理情報システム)は、地学教育において、観察・調査した情報のまとめ、探求のためのモデリング、情報蓄積などで有効に活用することができます。調査・作成したデータはデジタルで保存されるので、調査・研究結果の収集・加工・発信・再利用が容易に行えるため、調査・県有結果を様々な分野での有効活用を図ることができます。

しかし、商用のGISを用いて現場の実態に即したアプリケーションを導入するには多額の費用がかかるとともに、GISの取り扱いや教材開発を行うスキルを持つ人が少ないために、教育現場ではGISソフトの操作教育になりがちとなってしまい、GISの利用はまだまだ普及していないのが現状です。

そこで、地学教育および地学関連業務の従事者や環境・防災分野のスペシャリスト(指導者)およびスペシャリストを目指す学生等向けに、地学教育に特化したオープンソースのGISを活用した安価なGIS活用環境の整備が望まれます。

3.本プロジェクトの目標

本プロジェクトでは、近年普及しているオープンソースのGISを活用して、地学教育に特化したGIS活用環境を開発します。 特に地質学の基礎である野外観察・調査結果から地質図作成についての一連の作業をサポートすることを目標とします。

【想定する利用者】

  • 地学教育および地学関連業務の従事者
  • 環境・防災分野のスペシャリスト(指導者)およびスペシャリストを目指す学生等

【活用シーン】

  • 中・高校生の授業および課外活動等での地学実習
  • 大学などでの講義・巡検・研究等の資料作成
  • 自然博物館等での研究・普及(友の会など)での活動・報告資料作成
  • 自治体や地域団体等の環境・防災担当者向けの基礎資料作成

【特徴】

  • 野外調査~まとめの一連の作業をサポート
    • GISソフトでの地質図の作成は、「観察・調査」→「地形図上への調査結果のマッピング(ルートマップ作成)」→「推論(モデリング)」→「地質図作成」の順に行っていきますが、通常のGISソフトでは、データの変換、GISへの入力、データ編集、図面作成の作業が一連のものとはなていないため、GISの専門的知識や操作方法の習得が必須であるとともに、作業時間の短縮には寄与していません。 そのため、GISの専門知識がなくても、この一連の作業操作が行えるようなユーザーインターフェースを実装します。
  • オープンソース・オープンデータの利活用で高い拡張性を担保
    • 地質以外の分野のデータとも連携して表現できるよう、オープンソースのGISのプラグインとして上記のユーザーインターフェースを実装します。また、データフォーマットもオープンデータの形式と合わせることにより、様々なデータと結合可能にします。
  • 教材としてのプロジェクト管理機能を実装
    • ひとつの主題(プロジェクト)を教材化して再利用可能とするためのプロジェクト管理機能を搭載。作成したプロジェクトを公開して、利用者同士で閲覧・共有することができるサービスを検討します。

システムの構成と使用ツール

GISの専門知識を必要とせず、GISで地学教材地図の作成・活用が行えるように、以下の図のようなツールを使用したシステム構成とします。ソフトウェアは極力オープンソフト(OSS)を利用し、必要に応じアドオンプログラムを適用します。

本プロジェクトのシステム構成

【野外調査ツール】

  • デジタルクリノメータ(Geoclino for iPhone):現在位置を記録するとともに、走向・傾斜を記録します。
  • カメラ:露頭や地形の様子などを撮影・記録します。
  • フィールドノート:露頭の様子や形状などをメモします。
  • その他(ハンマー、サンプル袋など)

【デスクトップGIS(QGIS):地学教材地図作成ツール】

  • デスクトップGISソフト(QGIS):調査データを入力し、ルートマップの作成と地質図の作図を行います。 QGISは、地学教材地図作成の専用メニューのアドオンプログラム「地学ライブラリ作成ツール」プラグインを開発し、実装します。

【Webサイト:地学データ共有・公開ツール】

  • データベースおよびWebGIS(MySQL、PHP、Leafret):作成した地学地図データの共有および公開を行います。 データベースにはQGISで作成した地学地図データをインポートして、WebGIS「Web地学ライブラリ」にて閲覧できるようにします。

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